この記事では,体を変えるために必要なトレーニングの頻度と量の目安について述べている。また,トレーニング頻度ごとトレーニングメニューも記載しているため,トレーニング種目が固まっていない人は参考にしていただきたい。
トレーニングの頻度と量
ジムに通うようになって半年程度すると,体の変化が鈍くなる。これは,体がジムで筋トレすることに慣れてきた証拠であるため,決してネガティブな現象ではない。このフェーズになれば,筋トレの頻度とトレーニング量について考え直す必要が出てくる。
まず,トレーニング頻度について説明する。筋肉は各部位最低週一回刺激を与えることが理想的である。ここで,代表的な筋トレ部位とは足・胸・背中・腕・肩の5つである。つまり,一回のトレーニングで一部位鍛えるとすると各部位週一回の刺激を与えるには週5回のトレーニングが必要になる。ただ,初心者で週5回トレーニングを行える人はほとんどいないだろう。ここで,伝えたいことは週5回トレーニングを行うことではなく,自分のライフスタイルにあった筋トレ頻度で全部位に刺激を与えることである。それは週三回でもいい。
次に,トレーニング量について説明する。私見では,各部位一回のトレーニングで20セット(各セット限界まで追い込む)までのトレーニング量であれば,やればやるだけ早くデカくなる。しかし,これを実現するには,一回のトレーニング時間は1時間半から2時間程度,週5回する必要がある。多くの人はこの程度のボリュームのトレーニングを継続できないため,各々限られた時間でトレーニング量を最大化することが体を早くデカくすることにおいて重要である。
~体験記~
私は,上記の各部位20セットのトレーニングを行っていたことがある。それまでは,各部位12セット程度のトレーニング量であった。各部位20セット行ったときに明らかに体の成長速度が上がった間隔があった。また,トレーニング量が増加したことにより,トレーニングの技術向上があった。しかし,15セット以降は筋力と集中力の低下により,トレーニングの質がかなり悪くなっていた。また,蓄積疲労により,長期的にみると扱う重量が増加しなかった。そのため,トレーニング量はバランスが大事であることを学んだ。このバランスは個人差があるが,私の場合,1時間のトレーニングで1部位12~15セットに落ち着いた。
トレーニング頻度と種目の具体例
ここからは,以上の内容を踏まえ,いくつかの頻度と量の具体例を示す。この例では,トレーニング時間が1時間程度になるように考えている。インターバルは2分半を想定している。
週1回
トレーニング頻度が週一回の場合は,全身法と呼ばれるトレーニング分割法を実施する。全身法とはその名の通り,一回のトレーニングで全部位を刺激するトレーニング法である。各部位1種目を3セット行うことでトータル15セットとなり,1時間程度のトレーニング量となる。各部位の種目の例を示す。
足 | スクワット |
胸 | ベンチプレス |
背中 | 懸垂 |
腕 | アームカール |
肩 | ショルダプレス |
週2回
トレーニング頻度が週2回の場合は,前述の全身法を2回行うか,プッシュ系/プル系の2分割法で行うのが一般的である。プッシュ系種目とは,負荷を押すときにパワーを発揮するトレーニング(ベンチプレス,スクワット等)であり,プル系種目とは,負荷を引き寄せるときにパワーを発揮するトレーニング(懸垂,アームカール等)である。
プッシュ系 | |
足 | スクワット |
胸 | ベンチプレス |
腕 | ナローベンチプレス |
肩 | ショルダープレス |
プル系 | |
足 | レッグカール |
背中 | 懸垂 |
背中 | シーテッドロー |
腕 | アームカール |
ここで,全身法とプッシュ系/プル系の2分割法の違いについて述べる。全身法を週2回行う場合は,5種目のトレーニングを3セット×2回できる。仮に1セットを10回とすると,各種目を1週間で60回することになる。一方で,2分割法は,8種目のトレーニングを30回することになる。つまり,全身法は各種目の技術を早く磨くことが可能であり,2分割法は種目数を多くすることが可能である。初心者はまず正しいフォームを身に着けることが重要になるため,最初の1~3か月は全身法を週2回で回すことをお勧めする。全身法でピックアップした5種目は各部位の基礎となるトレーニングのため,この5種目の熟練度を向上することは,かなり重要な要素となる。また,長期的には種目数を増やす必要があるため,慣れてくれば2分割法に変更し,トレーニング種目を増やすことが必要となる。
週3回
トレーニング頻度が週3回の場合は,下半身・上半身プッシュ系・上半身プル系の3分割法をお勧めする。先ほどの2分割と違う点は,下半身を独立させた点である。経験者であればわかると思うが,下半身のトレーニングは,非常に多くの体力を消耗する。そのため,下半身をトレーニングした後では他の部位のトレーニングの出力が低下し,トレーニングの効果が下がってしまう。週3回のトレーニングでは,下半身の日を設けることができるため,上半身のトレーニングの質の向上が期待できる。
下半身 | |
足 | スクワット |
足 | レッグプレス |
足 | レッグカール |
足 | レッグエクステンション |
プッシュ系(上半身) | |
胸 | ベンチプレス |
胸 | インクラインダンベルプレス |
腕 | アームカール |
肩 | ショルダープレス |
プル系(上半身) | |
背中 | 懸垂 |
背中 | シーテッドロー |
背中 | ラットプルダウン |
腕 | ナローベンチプレス |
プル系の種目は4種目中3種目が背中トレとなっている。背筋はトレーニング中に目視することができないため,難易度が高いと言われている。初心者のうちは特に,1セットで背筋に与えるダメージが小さいため,他の部位よりもトレーニング量を増やすことをお勧めしている。
週4回
トレーニング頻度が週4回の場合は,2分割法を2回行うことをお勧めする。
プッシュ系(1) | |
足 | スクワット |
胸 | ベンチプレス |
腕 | ナローベンチプレス |
肩 | ショルダープレス |
プッシュ系(2) | |
足 | レッグプレス |
胸 | ベンチプレス |
胸 | インクラインダンベルプレス |
腕 | ケーブルプレスダウン |
プル系(1) | |
足 | レッグカール |
背中 | 懸垂 |
背中 | シーテッドロー |
腕 | アームカール |
プル系(2) | |
背中 | ベントロー |
背中 | 懸垂 |
腕 | インクラインダンベルカール |
肩 | リアデルトイド |
このように週4回の2分割法ではトレーニング種目数を大幅に増やすことが可能になる。また,これまでとは違い,週2回の刺激を各部位に与えられるため,筋肉の成長をより促進することができる。週4回以上のトレーニングをできれば1年で体は大きく変わることが期待できる。
週5回
トレーニング頻度が週5回の場合は,足・胸・背中・腕・肩の5分割法をお勧めする。5分割法では,1日1部位のみに集中することができ,4種目程度のトレーニングを行うことができる。そのため,トレーニング量が大きいのはもちろん,各トレーニング種目の熟練度向上速度の最大化が期待できる。私は,ベンチプレスが苦手で伸び悩んでいた時に補助種目として,ダンベルプレス・インクラインダンベルプレス・ダンベルフライを追加することで胸筋を使う感覚が向上し,ベンチプレスの技術向上につながった。このように,1部位に集中して,様々な種目で刺激を与えることにより全体として,トレーニング技術の向上が期待できることがある。これが5分割法の最大のメリットであると考える。私は,筋トレ歴2年目で5分割法を採用した。
足トレ | |
足 | スクワット |
足 | レッグプレス |
足 | レッグカール |
足 | レッグエクステンション |
胸トレ | |
胸 | ベンチプレス |
胸 | インクラインダンベルプレス |
胸 | ダンベルプレス |
胸 | ダンベルフライ |
背中トレ | |
背中 | 懸垂 |
背中 | ベントロー |
背中 | シーテッドロー |
背中 | ラットプルダウン |
腕トレ | |
腕 | EZバーカール |
腕 | ライイングエクステンション |
腕 | インクラインダンベルカール |
腕 | ナローベンチプレス |
肩トレ | |
肩 | ミリタリープレス |
肩 | リアデルトイド |
肩 | ダンベルショルダープレス |
肩 | サイドレイズ |
5分割法は種目数がかなり多いため,初心者がいきなり実践することは難しい。まずは焦らず,できる種目を1つずつ増やしていき,1年後に5分割法でとレーニングするくらいのロードマップをお勧めする。
まとめ
以上では,週1~5回のトレーニング頻度における種目の例を示した。分割法に関しては今回紹介していない分割法も存在するため,各々のトレーニング頻度にあった分割法を追求していってほしい。また,厳しい現実かもしれないが,標準体型から1年で体を変えたいと思うのであれば,週3回以上のトレーニングは必要である。ただ,デカい人とそうでない人の違いは週3回以上のトレーニングを1年以上継続できたかできなかったかの差である。自分にはセンスがないと筋肉がつきにくいと思ってあきらめかけている人も,トレーニング頻度と量を増加して意地でもトレーニングを続けてほしい。そして,周りと比較するのではなく過去の自分と比較して,トレーニングに励むことを期待する。
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