筋トレは質・量・強度等の様々な要素があるが,体をデカくしたい人はどの要素に力を入れるべきなのか,実体験なども含め解説する。
挙上重量を伸ばすことの重要性
イメージしていただきたい。ベンチプレスの最大挙上重量が80kgのトレーニーと100kgのトレーニーの胸筋を。今,間違いなく,100kg挙げられるトレーニーの胸筋の方がデカいと想像したと思う。80kg挙げれるトレーニーが100kg挙げられるトレーニーの2倍のトレーニングを行っていたとしても,胸筋がデカいのは100kg挙げるトレーニーだろう。つまり,80kgから最大挙上重量を更新していくようなトレーニングをしないと,80kgを挙げるのに必要な筋肉しかつかないのである。そのため,体をデカくするうえで,挙上重量の更新は必須条件となる。
~体験談~
学生時代のジムでの出来事について知ってほしい事実がある。私は大学のトレーニング施設で朝トレを行っていた。朝の時間帯にトレーニングをしている人は人生における筋トレの優先順位は高いため,本気でトレーニングをしている。そのジムには毎朝,私以外にある1人の学生が必ずトレーニングをしていた。彼と出会った当初は,私よりも挙上重量は重く,体もデカかった。私は彼が扱う重量で同じようにセットを組めるようになることを目標として,トレーニングに励んだ。半年くらい経つとある程度,彼と同じような重量でセットを組めるようになり,体も順調に大きくなっていった。しかし,ここで1つ気づいたのだ。彼は,半年間ほぼ同じ重量でトレーニングをしていることに。そして,体もあまり変化していなかった。毎朝欠かさずトレーニングをしているのにも関わらずだ。この時に,私は体をデカくする最大の要因は挙上重量を更新することではないかと推測した。そこで,彼の重量に追いつくという目標を修正し,挙上重量を更新し続けることを最優先事項としてトレーニングに励んだ。その結果,1年後には彼よりも腕周りや胸板は厚くなった。彼のトレーニングは対象部位に効かせることに重きを置きすぎていて,挙上重量の更新は二の次になっていたように見えた。彼と私の決定的な違いはこれだけであり,筋トレに対する情熱や努力の量は同程度であった。つまり,努力の方向を間違えると,目標も達成できないということである。この経験から,私は「体をデカくする=挙上重量の更新」という考えに行きついた。
挙上重量更新の手順
挙上重量を更新するのはただ単純にウェイトを積んでいくだけだと思われがちだが,その考え方だといつか停滞してしまう。必要なものは,ルール化することである。ルール化することにより,挙上重量更新の継続ができるようになると私は考える。
挙上重量を更新するには,筋肉量を増やすことと,脳からの電気信号をうまく筋肉に伝達するように運動神経を鍛えることの2つが重要になってくる。そのため,トレーニングでは,高重量トレーニング(挙上回数5回以下)による筋力増強と中重量トレーニング(挙上回数6~12回)による筋肉量増加が必要である。これにより,セットを組む重量を更新していけば,自ずと最大挙上重量も更新される。
ここからは,高重量トレーニングにおいて重量を増やす手順について説明する。まず,3回で限界が来る重量を探す。例えば,ベンチプレスにおいて80kg3回で限界が来るとする。この時,80kgで3セット行う。その後,-5kgして2セット行う。これを繰り返す。そうすると,運動神経が鍛えられ,80kgが4回上がるようになるはずである。そして,80kg4回を3セットできるようになったら,重りを追加していく。追加する重量は最小単位の0.25kgである。80.25kgは80kgに対し,たった0.3%程度の増量である。体感でもほとんどわからない程度だ。これをまた,4回3セット挙げられるようになるまで行う。このように少しずつ挙上重量を更新していくことが,重要である。
しかし,この手順に乗っ取ってトレーニングを行っていても,壁はある。その壁とは,フォームの悪癖と対象部位に効かなくなった不安である。フォームが悪ければ,いづれそれは障害となる。それは,フォームを見直すきっかけにしてほしい。今ではYouTubeでいくらでも正しいフォームを学ぶことができるし,自分のフォームを撮影することだってできる。そこで,正しいフォームや体の使い方を覚えることができれば,再び重量は更新されるだろう。対象部位に効かなくなったという不安も同様である。重量が増えれば,重りをコントロールできずフォームを崩してしまうのは当然である。ただ,重量更新によるフォームの乱れは,重りに体を慣らすことで解決する。しかし,多くの人は重量更新して効かなくなったとたんに,自分にはまだ早いと考え,効かせられる重量に戻してしまう。これが,多くのトレーニーがはまってしまう罠なのである。そのため,重量を更新したときにフォームが乱れて対象部位に効かなくなったときは,重りに慣れるように粘り強くトライし続けてほしい。そうすれば必ず,対象部位に効かせられるようになるはずである。
まとめ
本記事では,挙上重量更新の重要性と更新の手順について解説した。重量更新で悩んでいる方は,手順の見直しと重りに慣れるという考え方を身に着け,壁を突破していただきたい。
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